社会調査

宗教団体は教育、医療、社会福祉のほか、多くの分野で、宗教活動と一線を画した活動を長年にわたり展開している。さらに現代社会の多様な問題に対しどのような具体的貢献が可能か新たな模索が始まっており、その実践的活動報告もなされている。

一方、2008年12月1日から新しい公益法人法が施行されたが、今回の改革は、財団法人、社団法人、中間法人を対象としたもので、宗教法人は対象となっていない。しかし、こうした法人制度をめぐる環境が変化するなかで、宗教団体を取り巻く社会状況も変化しつつある。そのなかで、宗教団体による「社会貢献活動」という言葉が、近年多方面から聞こえてくるようになった。

これまでにも宗教団体がどのような社会的役割、社会的意味あるいは社会的機能を果たしているのかという考察は、宗教社会学や社会学を中心に行われてきたし、社会福祉の一部としても研究の対象となってきた。しかしながら今回の関心は宗教団体の社会貢献活動にある。宗教団体の側からは、これまでの宗教活動を中心とした活動とは一線を画して、現代社会に対してどのような具体的貢献が可能かという、実践的な活動報告が行われるようになっている。他方で研究者からは、宗教団体が現在までどのような社会貢献を行ってきたか、あるいは今後どのような可能性が存在するかを探る研究が始まっている。

本調査は、こうした状況の中で、宗教団体の行う多様な社会活動に関する基礎資料を提供するために「宗教団体の社会貢献活動に関する世論調査」として計画、実施された。宗教団体が行う個々の社会活動は、どの程度認知、評価、期待されているのかを明らかにすることを目的としている。

宗教団体は、どのような社会においても必ず存在してきた。宗教団体は社会に対して大きな影響力を持つと同時に、当該の社会から制約も受けた。両者の間には蜜月の期間もあれば、衝突を繰り返した時期もある。現代日本社会において、宗教団体の社会活動がどのように一般の日本人に捉えられているかは、時宜にかなった重要なテーマである。 本財団は、社会の多方面に重要なデータを提供することで、国際的な宗教協力を基盤とした平和のための活動や明るい社会をつくるための活動に貢献するものと考えている。