諸宗教チーム韓国済州島訪問(第3回「9条アジア」宗教者会議の決定を受けて)

12月5日―8日、韓国教会協議会(NCCK)の主催により、済州島への国際諸宗教連帯訪問団の派遣が行なわれ、海外からは、米国、カナダ、台湾、日本、 アジア・キリスト教協議会(CCA)から12名、韓国内から曹渓宗、カトリック、新教、円仏教などから8名、合計20名が参加し、庭野平和財団からは、野 口専務理事が招待され、参加した。

今回の訪問計画は、2011年10月に沖縄・那覇市で開催された第三回「9条アジア」宗教者会議(詳細はこちら)で検討されたもので、この会議の焦点の一つは、アジア地域における軍事化について、沖縄、済州島、さらにフィリピンにおいて拡大する米国軍事基地の問題であった。

訪問団一行は、5日にソウルより済州島に到着し、6日、済州島江汀(カンジョン)村の村議会を訪問し、これまでの経緯や現状などの説明を受けた。その後、海軍基地工事現場入口前で、済州島の諸宗教グループとともに平和の祈りを行ない、住民代表に義捐金を送った。さらに、海側から工事現場の全貌を見学し、現地で反対運動をしている牧師から詳細な説明を受けた。その後、済州道議会にムン・デリム道議会議長を表敬訪問し、懇談の後、声明文(日本文)声明文(English)を手渡した。道議会にて記者会見を行い、訪問の理由や背景、訪問の印象などについて記者の質問に答えた。夕食後、江汀村のキャンドル夜祭に参加し、住民との交流を行なった。

7日は、「済州島4.3平和記念館」を訪問し、1948年に島民約三万人が朝鮮の警察や右翼テロ集団によって虐殺された済州島の悲劇 (注1) について学んだ。済州島諸宗教指導者主催の昼食会に参加した後、済州島民族資料館を訪問し、その文化と歴史について学んだ後、ソウルへ移動した。

8日は、NCCKを表敬訪問し、済州島の海軍基地問題について、NCCKカン総幹事と意見交換を行なった。その後、NGO「参与連帯」事務所にて、記者会見を行い、声明文を発表し、記者との質疑の後、今回のプログラムを終了した。

(注1) 事件は1948年4月3日、島民の武装蜂起を契機に起きた。事件とはいえ、その後何年間も、島という閉ざされた空間で起き続けた。独立すべきだった統一朝鮮に米ソ冷戦が持ち込まれ、米国は南朝鮮(韓国)の単独選挙を強行する。この暴挙に対する蜂起であった。これに対し、島民28万人のうち蜂起したグループとは無関係な住民2.5~3万人が、米国指示のもと、朝鮮の警察や右翼テロ集団によって虐殺される。しかし李、朴、全と続く軍事独裁政権のもと、韓国でも、そして一部の住民が密航により逃げ込んだ日本でも、事件のことを口にするのはタブーであった